9月29日に投開票された堺市長選で、日本維新の会の橋下徹共同代表が率いる地域政党・大阪維新の会の公認候補が敗れた。これにより、維新が掲げる「大阪都構想」に暗雲が漂い始めている。
「結党後最大の痛手だと思うが、維新の命運は2015年春の統一地方選で決まるのではないか。住民投票も統一地方選後まで遅れると思う。それまでにどう転ぶか……」
9月29日に投開票された堺市長選挙の翌日、大阪市のある関係者は、選挙結果をこう分析した。
大阪都構想が最大の争点となった堺市長選は、現職の竹山修身氏が大阪維新の会公認の新人候補を破り、再選を果たした。
竹山氏は「この選挙は堺市民と大阪維新の会との戦いだった。自由自治都市堺を守れたことが無二の幸せ」と、満面の笑みで語った。
Photo:JIJI
一方、日本維新の会の橋下徹共同代表は「堺がなくなってしまうという間違ったメッセージが広がってしまった。僕への批判もあった」と肩を落とした。地元・大阪の選挙で常勝だった橋下氏の「不敗神話」が崩れた瞬間である。
大阪都構想は、大阪府と大阪市、堺市を合体させ、新たな広域自治体(都)と新たな基礎自治体(特別区)に再編するもの。二重行政の弊害をなくし、大阪の再生を図るのが狙いである。
大阪維新の会の看板政策で、すでに大阪府と大阪市は、法定協議会を設置して協議を重ねている。残る堺市の協議参加を目指していた橋下氏は、今回の市長選を「負けられない大戦」と位置づけたが、結果は完敗だった。
そもそも堺市長選は、とても奇妙な戦いだった。再選を果たした竹山氏は、もともと大阪府知事時代の橋下氏の部下。4年前の市長選で現職を破り、初当選した。その際の後ろ盾が橋下氏だった。