税収減で、借金を増やしながらの手厚さ
大阪市に見る行政サービスの「偏り」
税金の使い方にどうにも納得がいかないと、首を傾げる人が多い。もちろん、誰からも不平不満の出ない税金の使い方などあり得ないが、それにしてもおかしいというのである。
相変わらず続く無駄遣いへの怒りだけではなく、時代や状況の変化に対応せず、同じような予算配分を漫然と繰り返すことへの不満も強まっている。税金を投入する優先順位に歪みがあり、住民二ーズとの間にズレが生じているとのやり切れない思いだ。
実際、行政サービスの構造が硬直化し、新たな二ーズに的確に対応できずにいる自治体は多い。これまでのサービスが既得権化し、なかなかメスを入れられずにいるのである。
役割をすでに終えたものや過大・過剰な行政サービスの見直しに、首長や議会、行政が尻込みしてしまうからだ。住民が直接、享受しているものが少なくなく、反発を恐れているのである。
確かに、誰もが一度、手にしたメリットは手離したくないと思うものだ。また、サービスを受けているうちに、いつの間にか、受けられるのが当たり前と思ってしまいがちだ。他所の地域の実情を知らないため、それが破格のサービスであっても厚遇と気付かず、平然としていられるのである。
税金が使い切れないほど集まった時代ならば、それもわからぬでもないが、そんな夢のような時代はとうに過ぎ去っている。財政が悪化の一途をたどるなかで、既得権化した行政サービスを漫然と継続し続けていたら、大きなしわ寄せがあちらこちらに出てくるのは当然だ。その典型事例が、これまでの大阪市である。
市職員や市議への大盤振る舞いで批判を浴びた大阪市だが、実は、一部市民も様々な厚遇を享受していた。
たとえば敬老パスだ。大阪市は70歳以上の全市民に対し、大阪市営交通(地下鉄・バス・ニュートラム)を無料で利用できる敬老優待乗車証を交付している。