ジャネット・イエレンは、タカ派が強烈な主張を行っている今のFOMCでリーダーシップを発揮できるか?

 オバマ米大統領は、紆余曲折を経て、イエレンFRB副議長をバーナンキの後任に指名した。彼女自身はバーナンキと同様の(あるいはより強めの)ハト派である。本来、FOMCでは議長の考えが政策決定に色濃く反映される。それ故、米株式市場はイエレンが指名されたことを好感した。しかし、情勢は実はそう単純ではない。

 FOMCは合議制であるが故に、議長は他のメンバーの主張を完全に無視することができない。特にタカ派が超金融緩和策の副作用を心配して、QE3継続反対論を強力に展開している今の状況ではなおさらだ。有力FedウオッチャーであるライトソンICAPのクランドル・チーフエコノミストがそういった力学を鋭く分析しているので以下に紹介してみよう。

 バーナンキは議長を務めて今年で8年目となる。金融危機対応策を成功させてきたこともあって、彼はFOMC内で政治的資本を厚く積み上げてきた。通常であれば、大半の地区連銀総裁が「バーナンキ議長が言うのだから、仕方がない」と服従しても不思議はない局面である。しかし、今年に入ってFOMCではタカ派の地区連銀総裁による“レジスタンス”が一段と表面化した。議事要旨によると、3月には「多くのメンバー」が夏までにQE3の減額を開始するよう主張、6月には「およそ半数のメンバー」が年末までにQE3を終了するよう求めた。