「もう、あなたとはつきあえない」

 さんざん悩み抜いた挙句、借金のことを告白すると、彼女からはこんな答えが返ってきた。恋人の意外な素顔に衝撃を受けたのだろう。その後、何度かやり直そうとした2人だったが、結局、別れることになってしまった。緒方さんが失意のどん底に突き落とされたのは言うまでもない。

 「一時は自殺まで考えましたが、ようやく立ち直ることができました。彼女との出会い、そして失恋をきっかけに、自分は大きく変わったと思います。多重債務者であるという事実をしっかり認識できるようになった。以前は夢ばかり追っていて現実を直視できていませんでしたが、今は節約しながらこつこつと借金を返済しています。35歳までにはなんとか結婚したい。ただ、彼女のように本気になれる女性に、はたして出会えるかどうか」

アラフォーが直面する非情な現実

 「婚活したいのは山々だが、借金があって本腰を入れられない」
 「結婚を考えているが、彼女に借金のことを告白できない」
 「借金が原因で彼女と別れてしまった」

 旭川総合法律事務所の弁護士・皆川岳大さんのもとには、こんな相談がよく持ちかけられるという。緒方さんのような30代もいるが、とくに目立つのがアラフォー世代だ。

 「空前の消費者金融ブームが起こったのは、彼らが20代の頃。テレビCMがさかんに流され、ATMがあちこちに置かれるようになった。気軽に借りられるからと、遊興費を調達するために利用する若者が増えました。ところが、利息が最大29.4%と高く、なかなか完済できない。やむなく別の消費者金融から借金し、結局、多重債務に陥ってしまう――こうした人が男女を問わず多いようです」

 皆川さんによると、目立つのは債務総額が400~500万円程度という人々。いっそもっと多額なら自己破産に踏み切るのだろうが、「どうにか返せる」と踏む人が多いようだ。月々の返済額がさほど高額でない場合、緒方さんのように、多重債務者の自覚が薄れてしまうケースもある。

 だが、そんな彼らもアラフォーに突入すると、突然、現実の壁にぶつかる。

 「このままじゃ結婚できない!」

 それまで借金をさほど苦にしていなかった人も、あらためて事の深刻さに愕然とするらしい。なかには将来を悲観し、抑うつ状態に陥る人もいるという。