PCのインターネットブラウザを使ったブラウザゲームとしては異例の、サービス開始からわずか半年でユーザー数100万人を突破する大ヒットとなった「艦隊これくしょん」(艦これ)。グリーやモバゲーなどのソーシャルゲームが不振を極めるなか、重課金に頼らないネットブラウザゲームが当たったことから、ゲームコンテンツ業界勢力図が変わる兆しが見えてきた。「艦これ」開発元である角川ゲームスの安田善巳社長に、ポスト・ソーシャルゲームビジネスをうかがうコンテンツ業界の展望を聞いた。
――「艦これ」が絶好調で、親会社「KADOKAWA」の株価やソニーの携帯ゲーム機「PS Vita」の命運にまで影響を与えているという話もあるようです。まずは、このフィーバーぶりについての率直な感想からお願いします。
1958年島根県生まれ。81年京都大経済学部卒、旧日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。80年代は産業調査部にて通商産業省(現経済産業省)を担当。90年代前半は、大蔵省証券局の担当(MOF担)として証券市場改革や金融制度改革を、90年代後半からは、エネルギー、通信業界を中心 とする事業再編・事業統合など、数多くの案件を手がけた。2004年旧テクモ(現コーエーテクモゲームス)入社、常務取締役、06年社長、08年退職。 09年角川グループホールディングスが角川ゲームスを設立、社長に就任。
まずは、たくさんの「艦これ」提督(ユーザー)の皆さんに遊んでいただけていることに心よりお礼を申し上げたいと思います。また、サーバの増強等が追いつかなくて、ご迷惑をおかけしているにもかかわらず、提督の皆様には開発・運営チームの頑張りを評価していただき、感謝いたしております。
サービス開始後のユーザーの皆さんの叱咤激励や熱い応援が開発・運営チームの血となり肉となりました。我々も人間ですから、こんなに沢山のユーザーに期待されていると思えるだけで嬉しいですし、ましてその取り組みに対して大きな反響があるわけですから、本当に幸せなことです。
また、ビジネスパートナーであるDMM(インターネットを使ったコンテンツビジネス大手)さんとの良好な関係や、艦これの制作に関わった人たちが脚光を浴び、その活躍ぶりが話題になっているのを見るにつけ、このプロジェクトを決断して本当に良かったと思っています。
しかし、その一方で艦これの展開は始まったばかりです。先般には、PS Vitaへの展開やアニメ化の発表をさせていただきましたが、これからも沢山のユーザーの皆さんに楽しんでいただけるよう取り組んでまいりますので、これまで以上にご期待いただければと思います。