3番目に「対象とする市場がセグメント可能」でなければいけません。セグメントとは、顧客対象を業種やその他の属性など、特定の条件によって絞り込むことを言います。

 例えば、作業工具を売りたいとき、「自動車整備工場向け通販」ということであれば、販売対象を絞り込むことができます。自動車整備工場をリストアップすれば、集客を図って見込み客を集めることができます。

 ところがこれを「DIY向け通販」にしてしまうと、販売対象を絞り込めなくなってしまいます。つまりセグメントできませんから、見込み客を集めることができないのです。

既存の流通チャネルに
不満を持つ層を狙う

 4番目の「対象とする市場が既存の流通チャネルに不満・不便を感じていること」もきわめて大事です。

 アスクルが既存の文具卸に不満を持っていた中小・零細企業を対象に文房具通販を始めたのは前述の通りです。また、機械工具の通販を始めたMonotaROの場合も、既存の工具販売店に不満を持つ零細工場から支持を受けることでビジネスが軌道に乗りました。

 首都圏を中心に外食店に業務用宅配を行うカクヤスも、既存の流通チャネルに不満を持つ飲食店から支持を得て、業績を大きく伸ばしています。

 同社はもともと、一般家庭向けのお酒の宅配サービスからスタートしました。ところが売上が伸びずに困っていたとき、ある社員からの「一般家庭でなく業務用を狙ってはどうか?」という一言で方針を転換。さっそく業務用宅配に力を入れたところ、わずか3年で一般家庭向けの売上を抜く規模に成長しました。

 従来、お酒の業務用宅配はルートセールスであり、今日頼んだら翌日の朝に届けられるという商習慣が一般的でした。ところがカクヤスは、今日頼んだら2時間後には配達してくれます。どちらが便利かというと当然カクヤスです。

 こうしたサービスが人気を呼び、お酒以外にも食材や花、文房具まで飲食店が必要とする商品の取り扱いを増やしていったことで、大きく業績を伸ばしました。同社の2006年度の売上は631億円ですが、6年後の2012年度には1045億円にもなっています(同社ホームページ会社情報による)。不振が続く外食業界の中では、驚異的な成長を遂げていると言えるでしょう。

 これは従来の販売チャネルに「不満・不便」を持つ層から支持された結果です。