さらに5番目の「流通する商品の価格体系が不透明」な業界というのは、事業規模が大きい大口顧客ほど優遇され、事業規模が小さい小口顧客ほど冷遇される傾向があります。その結果、小口の顧客は4番目に述べたような「不満」を感じやすくなります。
例えば、工場でよく購入される代表的な商品に「ベアリング」があります。ベアリングとは回転するシャフトを支えるドーナツ状の台座のことで、自動車やバイクをはじめ、ベルトコンベア、工作機械など、さまざまな機械に使われている主要パーツです。
じつはこのベアリングの定価はあってないようなもので、大口の顧客は定価の6割引きくらいの価格で購入しています。ところが小口の購入しかできない零細工場になると、そもそもルートセールスの機械工具販売店が来てくれません。したがって零細工場のほうから機械工具販売店までベアリングを買いに出向くことになります。
こうした顧客は「現金客」と言われ、機械工具販売店からも面倒くさがられて冷遇されます。その結果、定価に近い価格でベアリングを買わされたりするわけです。
一方、MonotaROの通販サイトを見ると、同じベアリングが大口顧客並みの価格で売られています。当然、この零細工場はMonotaROから買うことでしょう。
工場マーケットにかかわらず、法人営業の世界は価格体系が不透明な業界が多いですから、これをチャンスと捉えることもできるのです。
(次回は10月30日更新予定です)
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