しかし近年のSEは、技術だけでなく営業的なノウハウも求められるようになっています。お客様と直接やりとりをしてニーズを知らなければならないし、会社の中でいろいろ調整もしなければいけません。プレゼンテーションも何度となくすることになります。つまり、他人とのコミュニケーションがとても重要になるのです。

 また、SEはかなり体力を必要とする仕事です。夜遅くまで働くことも多いでしょう。でも、コンピュータをいじるのが好きな若者というのは、体を動かすのが苦手で、体力にはあまり自信がないというケースが少なくないのです。

 コンピュータにだけ向かっていればいい仕事というような、頭の中に描いていたSEのイメージと現実に大きなギャップがあるために、SEになった若者の離職率がとても高いのが実情です。

 ところが、企業が、学生を採用してSEとして戦力になるように育てるまでに3年はかかると言われます。それまでは先行投資ですから、3年以上働いてくれないと、企業としては利益があがりません。たとえば、2年でその従業員が辞めてしまったら、それまでの給料、ボーナス、教育費が全部ムダになってしまうのです。その費用は、1000万円、場合によっては2000万円にもなるでしょう。

 あるいは、2年働いただけの若手社員が上司であるあなたに「僕、会社を辞めたいんです」と言ったとします。当然、あなたは必死に引き止めるでしょう。その労力の大きさはバカにならないはずです。それに費やした時間分の賃金を、あなたの給料に換算したとしたら、その金額も少なくはないでしょう。本来ならその間にほかの仕事ができるのですから、そのお金も会社にとってはロスです。

 このように、若手社員は、少なくとも会社に貢献できるようになるまで働いてもらわなければ投資に見合わないし、採用の苦労も報われません。そして、若手社員を辞めさせないためには、ココロのケアをしてストレスをためずに働いてもらうことが大事なのです。

ココロのケアのメリット

 そのほか、従業員のココロのケアをすることには次のようなメリットがあります。

(1)生産性がアップする

 ココロのトラブルを抱えた社員は、遅刻や仕事の能率の低下、病気による欠勤などによって、かなり生産性が落ちてしまいます。また、上司や同僚などにも大きな負担をかけることになります。そんな社員に対して、すばやくケアを行なえば、会社はロスを最小限に防ぐことができ、全体としての生産性もアップします。

(2)労災を予防できる

 従業員のココロの健康をないがしろにする会社は、労災認定による従業員本人や家族側に対する補償などの経済的なリスクを負うことになります。

 一方、ココロのケアを行ない、病気などのトラブルに陥らないよう研修活動などを積極的に取り入れれば、労災を未然に防げる可能性は高くなります。