前回、ウェブ・カウンセリングのメリットと事例ご紹介しましたが、今回は、その他の社内カウンセリングの事例を紹介します。
ここで挙げた例は、多くの企業に共通して見られるもの。もしも同じような立場にいる人、同じような悩みを抱えている人がいたなら、対処法や考え方は参考になるはずです(プライバシー保護のため、実際にあったいくつかの似た事例を組み合わせ、ケースとしてまとめてみました)。
CASE1:
仕事に適応できない新入社員
新入社員の営業マン、H君は、入社して2ヵ月経った6月にパニック障害の症状が出てしまいました。
その理由はこうです。
仕事に関してわからないことがあっても、教育をしてくれる先輩や上司に聞けない。なぜなら、みんなすごく忙しいために、聞くタイミングがわからないのです。思いきって聞いたときには、「忙しいからあとにしてくれ」と素っ気なく言われたそうです。
すると、「これは聞いてはいけないことなのだろうか?」といろいろ考えて、自分なりのやり方で処理しました。でも、乏しい知識と経験から導き出した結論ですから正しいはずもなく、それを上司に見せてまた怒られてしまうのです。
あるとき、私がカウンセリングを終えて、たまたまH君と廊下ですれちがいました。もう午後10時過ぎです。気になった私が「どうしたんですか?」と尋ねると、
「上司がこの時間にならないと手が空かないので、それまで待っていないといけないんです」
と言うのです。
それでも、結局あまりきちんと教えてもらえずに、「お前、なんでわからないんだ」「使えない奴だ」と言われてしまう。上司も忙しくてストレスがたまっているためにイライラしていて、ひどく怒られるのです。それで上司や先輩が怖くなったH君には、仕事中にドキドキする、手先が冷たくなってガタガタ震える、PCのディスプレーを見ていても、怒られたことが頭の中をぐるぐる回って呼吸が苦しくなってしまうなどの症状が出てしまったのです。