阪急阪神ホテルズとみずほ銀行
下手な言い訳と時間が問題を育てた

 10月28日の月曜日は、注目の「2トップ」が謝罪会見に臨んだ。阪急阪神ホテルズの出﨑弘社長と、みずほ銀行の佐藤康博頭取だ。

 今回はどちらかというと、会見に臨んだ2人のトップ及び会社側の立場から、謝罪と言い訳の出来不出来を評価してみたい。もちろん筆者にも、一般的な市民感覚から2つのケースに対する「素朴な怒りの感情」があるが、筆者は今回直接の被害者ではないから、彼らに怒りをぶつけるというのは筋が違う(納税者が国に怒るのとは異なる)。

 また、組織にも個人にも大なり小なり不祥事は起こり得る。不祥事を起こした場合に、どのように謝罪するのが、事態への対応として適切なのか、を考えてみることは、一般論として無駄ではあるまい。

 さて、謝罪しなければならない深刻な問題が発覚した時点で、両社が共通に失敗したのは、最初に問題を小さく見せようとしたことと、本格的な謝罪までに時間をかけ過ぎて、処分に対する世間の期待値を「育てて」しまったことだ。

 何かまずいことをやらかして、誰かがすでに「怒っている」場合、相手がさらに怒る対応は、「それは怒るに値しない問題だ」というメッセージを伝えることだ。謝罪と言い訳とを同時に行うのも、「私はそれほど悪くない」というメッセージに聞こえるので、似た効果となることがある。

 また、「無視が伴う時間の経過」も怒りを育てる。これらは、読者も(筆者もだが)日常生活で思い当たる節があるのではないだろうか。しかし、こうした基本を大事な場面でこそ忘れがちなのも、また人間だ。

 ホテルも銀行も最初から、トップが前面に出てありのままの事実を認めて謝罪して、その時点で世間が「それは痛いだろう」というくらいの処分を発表していれば、問題を納めることができた可能性がかなりある。