所詮、政治とは権力闘争である。古今東西、それは絶対の現実である。
今週、永田町では2つの雑誌記事が話題に上った。ひとつは〈中川秀直・自民党元幹事長「愛人スキャンダル」告白した〝政策本〟の中身〉(週刊現代)、もうひとつは〈救国提言 日本よ、「大きな政治」にかえれ/麻生太郎・与謝野馨〉(文藝春秋)、それぞれが政界のキーマンを主役にした政治記事である。
永田町ではこの2つの記事は、麻生氏に続いて、中川秀直、与謝野馨の両氏も「ポスト福田」へ名乗りを上げたものと受け止められている。国会議員や政治記者の間でのみに通用するきわめて内輪の論理であるかもしれない。だが、それでも自民党内の勢力図を変えるには充分な根拠をもつと考えられている。
通常国会終盤を迎えて、永田町周辺は俄然、騒がしくなってきた。支持率低迷に喘ぐ福田政権を横目で見ながら、超党派での「勉強会」や「議員連盟」が次々と立ち上げられている。与野党を問わず、各派閥や政策グループの動きも活発化している。さらには首相候補と目される政治家たちが「ポスト福田」、さらにはその先の「政界再編」を睨んで政治的な動きを顕在化させている。そうした中で、この2つの記事は「ポスト福田」の流れを決定付ける大きな役割を果たすといえそうだ。
自らスキャンダルを吐露し
“禊”を済ませた中川氏
まずは、週刊現代の中川秀直氏の記事の方から検証してみよう。一見スキャンダル記事に思える内容だがそれは違う。実際は今月末、講談社から発売予定の中川氏の著書の宣伝に過ぎない。これまでも中川氏は何冊も政策本を著している。だが今回、話題になっているのは、政治的な傷として残っているスキャンダルに自ら言及した点だ。
愛人問題、暴力団との黒い交際などによって中川氏が官房長官の職を辞したのは2000年のことだ。それ以来、閥務や党務を中心に汗を掻いてきたと中川自身は自負している。官房長官辞任直後、インタビューした筆者に対してもこう語っている。