そしてじつは、多くの町工場がこうした「VA・VE提案」、言い換えれば「顧客代行」を無意識に行っています。日本が世界でトップクラスの技術を持つ要因として、こうした町工場の「VA・VE提案」を挙げることができるほどです。

 したがって、この「VA・VE提案」を目に見える形にすれば、お客様は集まりますし、大企業が相手でも価格競争を回避することができるのです。

技術セミナーに100名超の
エンジニアを集める町工場

 例えば、京都府長岡京市に本社工場のある株式会社木村製作所では、過去に行ってきた「VA・VE提案」の事例をまとめて技術セミナーを企画したところ、100名を超える大手・中堅メーカーのエンジニアから参加申し込みが殺到しました。

 これらの参加者の大半が新規顧客であり、セミナー後の工場見学を通して多くの新規引き合いを獲得することができたのです。

 木村製作所が保有する設備・技術は特別なものではありません。同業他社でもできることです。ただし自社の「機能」(納期、品質など)だけでなく、「価値」(VA・VE提案)を前面に打ち出した点が、顧客から高い評価を受けているのです。

 これに対して多くの同業他社は、自社が保有する設備や短納期・小ロット対応といった「機能」ばかり訴求しています。ですから価格勝負に陥ってしまいますし、大企業の新規開拓がままならないのです。

こちらから売り込むから
値切られる!

 ではここで、「クジラ市場」を攻略するポイントをまとめておきます。大企業を新規開拓する上で大切なことは次の2つです。

(1)こちらから売り込まず、あくまでお客様の側から引き合いを発生させる
(2)そのために価値を訴求するコンテンツ(カタログ・セミナー)をつくり、集客ツール(DM・Webサイト)で告知する

 まず、こちらから売り込まないというのは、大企業を攻略する上で最も大切です。