法人営業の会社がリピート客を効率よく獲得する方法。それが、2つの空白マーケットを狙うこと。船井総研の売れっ子コンサルタントがそのノウハウを伝授します。この最終回は、普通の町工場が引き合いをつくる「VA・VE提案」と、「クジラ(大企業)市場」を攻略するポイントをまとめます。
下請け町工場でも
「顧客代行」でお客様が集まる
前回は、法人向けビジネスで「価値を訴求」するには「顧客代行」を行うことが大切と述べました。実際、この「顧客代行」は、普段は価格に厳しい大企業から大きな支持を得ることができます。顧客代行ができれば、どんな大企業が相手でも価格競争に陥ることはありません。
それは、価格競争に苦しめられている「下請け町工場」でも同じです。下請け町工場における「顧客代行」とは、一体どのようなものでしょうか?
それは多くの場合、お客様である大企業の開発・設計部門に対する「VA・VE提案」です。「VA・VE」というのは「バリュー・アナリシス、バリュー・エンジニアリング」の略語で、設計段階からコストダウンを行うことを指します。そして、こうした提案を客先に行う活動のことを「VA・VE提案」と言います。
どんな製品でも、設計しただけでは製品になりません。鉄なりプラスチックなりの材料を「加工」して形状をつくり、それを組み立てることによって製品となるわけです。
このとき、設計者が後工程である「加工」のことを熟知して設計すれば、その製品は安くつくることができます。ところが「加工」のことを知らずに設計してしまうと、後工程で時間がかかることになりますから、その製品コストは跳ね上がります。
そして多くの場合、設計者というのは「設計」のプロなのであって、「加工」のことはよく知りません。ですから優秀な「下請け町工場」というのは、取引先から出てきた設計図面をそのまま加工するのではなく、「ここの寸法を少し変えていただくと安くあがります」「ここの形状はこのように変えると安くあがります」といったように、設計者に対して提案を行います。こうした提案こそが「VA・VE提案」です。
こうした「VA・VE」は本来、設計者自身が考えて行うものです。それを町工場が代わりに行って提案しているわけですから「顧客代行」なのです。