ヤマダ電機が営業赤字に転落
「ショールーミング」は是か非か

 ネット媒体であるダイヤモンド・オンラインの読者であれば、「ショールーミング」という言葉の意味はご存知の方が多いだろう。

 家電製品などを買う際に、小売店で商品の実物の印象・感触などを確かめて、その小売店では買わずに、スマートフォンなどを使ってネット通販に買い注文を入れる購買行動だ。消費者にとって小売店は、商品を見るショールームに過ぎず、小売店に売上は生じない。

 商品の概観や感触を自分で確かめるだけならともかく、店員からの説明を聞いて、その上でネットに注文する消費者もいる。店員は残念で悔しかろうと推察するが、ネット通販の方が価格が安いなら、あるいは便利であるなら、消費者のこうした行動は少なくとも損得の上で合理的だ。

 ショールーミングが行われやすいのは、メーカーと型番が決まればどこで買っても同じ製品を入手できる商品だ。品質が変化する「生物」ではなく、いわば「乾き物」だ。値段的により安いものを買うことの効果が大きい家電製品は典型の1つだ。

 その家電の販売で売上日本一を誇るヤマダ電機が、2013年9月中間連結決算で、売上高が前年同期比11.4%増の8975億円となったものの、営業損益では23億円の赤字に転落した。具体的な影響のパーセンテージはわからないが、ネット通販との競争が少なからず影響しているようだ。

 経営幹部に対するインタビュー記事を読むと、ヤマダ電機側では「ショールーミングに負けないためには、価格で勝負するしかない」という、現実的に正しく同時に潔い認識を持っているようだ。

 年間約2兆円の圧倒的な売上を持つヤマダ電機は、仕入れ値の設定に当たって有利な交渉力を持っている。とはいえ、店舗を構え、在庫を持ち、人を雇う小売店のコスト構造を考えると、ネット販売に価格面で長期的に勝ち続けるのは難しかろう。