家電量販店のビックカメラがコジマを買収して一躍業界2位に躍り出た。負債も膨らんだが、今後は金融手法を活用し、大都市を中心に大型店舗を年間1店舗のペースで増やしていく見通しだ。
2012年5月、ビックカメラは、かつて家電量販業界1位だったコジマを買収した。
近年、コジマは店舗の大型化に乗り遅れ、経営不振に陥っていた。不採算店を閉めようにも、1店舗当たり数億円という賃貸契約の違約金を支払う余力がなかったため、リストラできない状態だった。
コジマは、第三者割当増資によってビックから得た資金などから157億円を、不採算店の閉鎖などリストラに充てる。3年間で50店舗を閉鎖する予定は前倒しされ、13年8月には30店舗の閉鎖が完了する見込みだ。
統合の一つの大きな目的は、仕入れ交渉力の強化だ。商品購入額を巨大化することで、メーカーとの交渉を有利に進めて卸値を下げ、2%の粗利益率を改善すると表明していた。実際、目標としているペースで卸価格は順調に下がってきている。
ところが、その後、小売価格が急激に下落してしまった。家電量販業界は、12年に入ってから、インターネット通販との競争に巻き込まれている。小売価格が下がれば、卸価格低下の効果は相殺されてしまう。逆に言えば、「統合がなかったら、粗利率が減っていたことになる」(安部徹取締役常務執行役員)。粗利率アップを狙っていたが、ダウンを食い止めるという形で、統合効果が発揮された。
一方で、ビックのノウハウを投入し、てこ入れしたコジマ店舗では、売り上げが急回復し、上位グループの月次売上高前年比と同水準になっている(図(1))。
買収から1年たたないうちに成否を判断するのは性急だが、効果は少なからず出ているといえよう。
しかし、その裏で「借金が多くなり過ぎて、身動きが取れなくなる懸念がある」(アナリスト)と指摘されている。