2013年11月13日、参院先議となっていた生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案が、参院で可決された。この後衆議院で審議され、衆議院でも可決されれば成立する。

可決直前、参議院ではどのような議論が行われたのだろうか? それは、法案と附帯決議案にどのように反映されたのであろうか?

10時間にも満たない審議の末
生活保護法改正案、参院で可決

 2013年11月12日15時55分、参院厚生労働委員会において、生活保護法改正案が賛成多数によって可決された。つづいて16時、生活困窮者自立支援法案が可決された。傍聴していた筆者の目の前での出来事であった。

 翌日の11月13日午前中、参議院本会議においても可決された。これら二法案は、早期成立を目指して参院先議とされているため、引き続いて衆議院で審議される。衆議院で可決されれば成立することになる。

 参議院本会議において賛成した議員・反対した議員の一覧は、参議院サイトで見ることができる。反対したのは共産党・社民党の全議員に加え、糸数慶子議員・山本太郎議員のみである。

本会議投票結果:参議院ホームページ
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/185/185-1113-v004.htm

 今国会における参院での二法案の審議は、11月7日・11月12日の厚生労働委員会での審議のみである。しかも11月12日の審議は午後のみであった(午前中は困窮者支援を行うNPOの視察)。審議時間は合計で10時間にも満たない。二法案が最初に国会に提出された2013年5月から廃案となった6月にかけて、また、二法案の審議そのもの以外に行われた生活保護制度に関する質疑を含め、生活保護制度とセーフティネット一般に関する国会での議論には少なからぬ時間がかけられてきている。しかし、それらの議論は、今回の参院での審議に十分に反映されているだろうか。筆者には、そうは思えなかった。

 まずは、先週から今週へかけての参院とその周辺での動きを振り返ってみよう。

「親族による扶助が要件」文書を
撤回させた小池晃議員

前回レポートしたとおり、11月7日の参院厚生労働委員会において、小池晃議員(共産党)が長野市をはじめとする全国の複数の自治体で配布されている調査書(扶養届書)についての質疑を行った。小池氏によれば、長野県・神奈川県・岡山県・千葉県・東京都の多数の自治体において、生活保護を申請した人の親族に対し、扶養に関する同内容の調査書が送付されている。長野市で確認された調査書では、その親族自身の勤務先・月収・資産・負債などを記載することを求めるのみではなく、給与明細書・ローン返済予定表などの添付も要求されていた。