大不況下の年末である。

 企業経営者や個人事業主の多くが「今年は厳しかったな。年明けに始まる決算や税務申告ではつらい数字を見ることになりそうだ」とため息をついていることだろう。サラリーマンだってボーナスのカットは当たり前のご時世。ローンの支払いなどに頭を悩ませている人も多いはずだ。

 スポーツ界も、この時期になるとお金のことが話題にのぼる。好成績を残した人は高収入に笑い、残せなかった人は減収に泣く。悲喜こもごもである。

石川遼と横峯さくら、
プロゴルフは男女とも快挙

 もっともメディアが主にスポットライトを当てるのは、好成績を挙げ大金を稼いだ選手だ。今年の主役といえばプロゴルフの石川遼だろう。

 18歳の高校3年生であるにもかかわらず、今季は日本プロゴルフツアーで4勝するなどの活躍を見せ、1億8352万4051円を稼いで賞金王になった。これは世界プロゴルフ史上最年少の記録だ。

 石川の稼ぎはこれだけにとどまらない。ヨネックスとの用具使用契約、パナソニックとの所属契約がある。契約金額は明らかにされていないが、2社で年間3億円超ともいわれる。

 これにCM出演料が加わる。プロデビューの昨年春以来、出演したCMは14本。出演料は1本につき5千万円前後といわれるから約7億円。今年1年で見れば、3~4億円になるだろう。トータルすれば、少なくとも8億円近くになるわけで、この大不況下、うらやましい限りだ。

 プロゴルフでは女子も快記録が生まれた。ツアー6勝を挙げ、賞金女王に輝いた横峯さくらが稼いだ賞金は1億7501万6384円。これは日本女子プロゴルフツアー史上最高額だ。不景気の影響でツアー数が減少傾向にある中(今季は昨年比3試合減の34試合)、この記録は快挙といえる。

 日本のプロスポーツ界で競技だけでの稼ぎ頭がいるのがプロ野球だ。今の時期は来季の年俸を決める契約更改が行われているので混同しがちだが、今季の年俸1位は李承ヨプ(巨人)の6億円(金額は推定・以下同)、2位は金本知憲(阪神)の5億5千万円、3位はラミレス(巨人)、松中信彦(福岡ソフトバンク)の5億円だった。

 プロ野球には日本のナンバー1プロスポーツというプライドとMLBに対する対抗意識があって(あんまり報酬が安いとMLBに選手がどんどん流出する可能性がある)、トップ選手には大盤振る舞いする傾向がある。