上高地帝国ホテルでの体験

 長野県に上高地帝国ホテルに宿泊した時の体験だ。

 朝食を食べに1階に降りたら、ホテルの従業員が名前を呼んで朝のあいさつをしたあと、朝食のレストランに案内された。レストランでは、従業員が名前を呼んで迎え、そして席までエスコートしてくれた。朝食の品々が運ばれてくるたびに、従業員の方は世間話のようにおかずを紹介し、雑談もしてくれた。妻もたいへん感心した。「ほら、お父さん、ここの従業員は来るお客さんの名前を全員呼べているのよ」と。

 ありふれたサービス用語ではなく、人間の感情も入ったぬくもりを感じさせる従業員、加えてそれぞれの個性も映し出されている自家製サービス用語の自然さと親切さに、私は感心しっぱなしだった。おかげで、楽しい食事ができた。給仕してくれた若い女性の出身が能登であることもわかり、石川県のインバウンド事業に携わり、能登に何度も足を運んだことのある私たち夫婦はさらに親近感を覚えた。

 チェックアウトの時、私の前にチェックアウトの手続きをしていた貴婦人然とした女性が、ついでに来年の同時期の宿泊の予約も済ませたのを見て、上高地帝国ホテルの人気ぶりとすごさを再認識させられた。

細やかなサービスができる中国のホテル

 半年前に、中国の大手家電メーカー・ハイアールを取材するため、青島を訪問した。宿泊したホテルは青島海景花園大酒店だった。実は、この青島海景花園大酒店は十数年前から、私が青島市を訪問するたびによく泊まるホテルとなっていた。

 11年前に出合ったこのホテルは当時、看板には5つ星と打ってあるが、設備などハードの面では、場合によっては新しい3つ星ホテルにも及ばないところもあった。海水浴場や観光スポットにも遠い。それでも青島ではいつも海景花園を選んでいる最大の理由は、中国北方でサービスが一番いいということだった。