さらには、コストのギャップ(Cost Gap)です。物価は安い、人件費も安いものの、ホテル、オフィス賃料、駐在員の方向けの住宅が非常に高いのが現実です。経済開放が一気に行われたため、ホテルやオフィス、外国人向け住居の供給が間に合っておらず、オーナー側が非常に強気なプライシングをしています。

 2年前には数十ドルで泊まれたホテルが、現在では300ドルを超える宿泊料になっています。オフィス賃料も高騰しており、最近で安いオフィスビルでも平米単価が50ドル以上。ヤンゴンのランドマーク的存在のサクラタワーでは平米単価が90ドルとシンガポール以上の値段となっています。早急なビジネスの立ち上がりが見込めない中、固定費としてのオフィス賃料や駐在員向け住居の負担は日系企業にとっては大きな悩みとなっています。

 そして4つ目として、意識のギャップ(Mind Gap)が挙げられます。つまり、ミャンマー企業、日系企業のトップ同士のマインドセットにおけるギャップです。ミャンマーで相応のビジネス規模にまで会社を成長させてきた企業家(創業者、起業家)はこれまで、中国やインドを出自とする極めてタフなビジネスパーソンと渡り合い、軍事政権と関係を深めながら今の地位を確立してきた猛者たちです。

 確かに日系企業の代表としてミャンマーに派遣される方々は一流ですし、知識・経験ともに豊富です。また例外なく、“この国をよくしよう”という志に溢れた方々です。しかし「手金で死線をくぐってきたミャンマー人企業家」と渡り合うには、それ以上に胆力、『ミャンマーの実態を理解した上で、本社すら“クビ覚悟”で説き伏せられる、サムライの気概を持った日本人』である必要があります。志だけではなく、サムライの気概があって初めて、このような猛者たちと対等にビジネスができると感じています」

東南アジアでは比較的治安がいい国
しかし日本人にはストレスやリスクも

――木村さんはインドでのご駐在経験もあると聞いていますが、他の国とくらべてミャンマーで日本人が生活するのは、いかがでしょうか?

「インドや他の国と比べると、街は綺麗ですし、人も優しいですね。暑いと言ってもインドのように45℃を超えるような日があるわけではありません。ただ停電は多く、サービスアパートメントならまだしも、コンドミニアムタイプであれば外国人向けであっても頻繁に停電します。私の家で最大8時間程停電したことがあります。

 先日起きたヤンゴンの高級ホテルTraders Hotelでの爆破事件が記憶に新しいですが、事件件数が増えてきたとはいうものの、東南アジアにおいても比較的治安はいい方と思います。 ただ、医療体制が脆弱であることは否めません。外国人だけでなく、ミャンマー人で一定以上のお金持ちも何かあったら『タイやシンガポールの病院に行く』という状況です。自分の息子が発熱・発疹症状が出たので現地の病院に行きましたが、ノドを見るだけで「インフルエンザだね」と診断されて、愕然としたことがあります。