今回は、目にはしかとは見えない「社風」のお話です。
そもそも「会社の風」って、なんでしょうか?これだという定義はありませんが、平たく言えばその会社が持っている雰囲気、上下関係のあり方とか、仕事を進めるときの暗黙のルールみたいなものです。ですから、働きやすさと、働きがいといったものに深くかかわっているのですが、社風を外から知るのは、思った以上に難しいものです。
例えば、私は新卒で出版社に入り、転職した先も出版社です。どちらも、社長以下「さん」づけで呼び合います。昔からずっとそうなので、上下関係はとても水平感があり、自由にものが言えます。一方、何をするにも、決めるにも議論百出。上司が「右向け右」と言っても、結構左を向いているやつもいるといった有様です。
では、出版社が「自由闊達」「上を上とも思わない」社風かと言えば、そうとは言えません。メディアのお仲間である大新聞社の中には、若いうちは先輩に楯突くことができず、軍隊式で命令にはほとんど服従という会社もあります。前の会社で働いていた若い頃に、先輩Uさんと某大手新聞社の方と3人で話をしていたら、「原君はUさんの先輩か。うちじゃ先輩にそんな口のきき方はできないぞ」と言われたことを、今でもよく覚えています。
単に私が生意気だっただけかもしれませんが、実際にその会社で働いてみないと、社風なんて本当のところは分かりません。突き詰めて言えば、1社だけに勤めても社風はわかりません。なぜなら、社風はほかの会社と比べて初めて、「うちは結構自由なんだ」「うちは案外厳しいな」ということがわかるからです。
目に見える指標で社風を知る――社歴
こう言ってしまうと身もフタもないので、何とか目に見える指標で、社風とやらに迫る方法はないか考えてみましょう。その方法の一つに「社歴」と「株主構成」があります。
社歴とは、その文字が示す通り会社の歴史です。その会社の年齢、いつこの世に産声を上げたかと言い換えてもいいでしょう。考えれば当たり前ですが、社歴の長い会社つまり伝統ある古い企業は、各組織の役割や権限、仕事のやり方やルールが確立されています。その結果、ある特定の人やグループに権力が集中して横暴な振る舞いがまかり通るといった状況は生まれにくく、会社の運営の仕方に安定感があるところが多いものです。