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スマートフォンの理想と現実

ソニーXperia Z躍進からウィルコム消滅まで
スマートフォンをめぐる2013年の出来事を振り返る

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第57回】 2013年12月26日
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7月:NECカシオとパナソニック、スマートフォン撤退

【概要】
 ドコモのツートップ戦略発表直後からNECやパナソニックのスマートフォン撤退の噂が流れたが否定。その後、ドコモのiPhone参入の観測報道によって、両社撤退の噂が再燃。結果的に、7月にはNECが、9月にはパナソニックがスマートフォンからの撤退を正式に発表した。なお、両社ともフィーチャーフォンや法人向けスマートデバイスの開発は継続する。

NECがスマートフォン事業からの撤退を正式発表、従来型携帯電話の開発・生産は継続 - Engadget日本版

「Panasonicがスマホ撤退」報道、事実なら初期mova組は残り1社に。基地局売却は「寝耳に水」 - Engadget日本版

パナソニックが個人向けスマートフォン開発撤退を正式発表、フィーチャーフォンは継続 - Engadget日本版

【解説】
 今年は、日本勢のスマートフォン撤退が相次いだ。残念なニュースではあるものの、正直「やっぱりね」と感じる人の方が、多かったのではないだろうか。2013年の春商戦以降を見てみれば、日本勢の端末の出来はどれもいま一つで、マーケティングやブランド戦略も、基本要件を見誤っていると感じるものが多かった。

 一方、この秋冬にフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)が投入されたことで、「スマートフォンよりフィーチャーフォンに商機がある」と捉える向きもあるようだが、これも間違いだ。世界市場ではすでに新興国でさえもスマートフォンに舵を切っており、フィーチャーフォン生産はスケールメリットを得ることができず、端末価格は今後高騰するだろう。

 残念だが、部材の調達のスケールメリットで生産の可否さえも決められてしまうのは、冒頭のXperia Zのニュースでも触れた通り。日本市場でしか使われないフィーチャーフォンの最終価格が上方硬直せざるを得ないなか、一方では家計所得や可処分所得の低下が見込まれる日本市場で、消費者の支持を得られるかは疑問である。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

「スマートフォンの理想と現実」

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