月額わずか1560円。データ通信料が無料で、しかも電話番号がついて通話もできる。スマートフォン市場において、画期的なサービスが登場した。
手がけるのは、通信ベンチャーの日本通信だ。通信回線の品質はNTTドコモのそれと遜色はない。なぜなら、ドコモの通信網を日本通信が借り受けているからだ。
日本通信は、通信速度を低速に抑えるなど細かな調整をし、料金プランを低く設定。結果、大手携帯会社の3分の1程度にまで料金を下げることができた。スマホの料金を節約したいという需要は強いだけに、“節約市場”拡大の起爆剤になり得るのだ。
今の大手携帯3社は営業利益で見ると、国内でトップ10に入り、合計で2兆円を超えるなど莫大な利益を得ている。そのキャッシュフローの創出力は他業界がうらやむほどである。免許制のインフラビジネスのため、参入障壁が高く、市場の寡占化が進むことで、料金値下げをせずとももうかる体制が出来上がりつつあるのだ。
MVNO市場が活性化
Photo by Takeshi Kojima
今後の鍵となるのが、自社でインフラ設備を持たずとも、それを大手携帯会社から借り受けて自社ブランド回線としてサービス提供する事業者である。仮想移動体通信事業者(MVNO)と呼ばれ、ここが活性化することで多彩な料金プランが生まれる。
日本通信は、MVNOの先駆者であり、2010年にSIMと呼ばれるICカードを販売することでデータ通信料をぐっと下げた。翌年には、大手流通イオンと組んで月額980円からのデータ通信料のプランを出すと一躍ヒット。それを見た大手インターネット接続事業者(ISP)や量販店などが相次ぎ参入していった。