米大統領の前半戦の〝天王山〟である「スーパーチューズデー」の開票が進んでいる。本稿はその真最中に執筆している(日本時間6日午後6時)。
共和党ではジョン・マケインが多くの州で勝利を収めながらも、ミット・ロムニーが辛うじてそれに次いでいる。マケインの「指名獲得」とまではいかないものの、獲得代議員数ではダブルスコア以上の差をつけている。
一方、民主党はヒラリー・クリントン、バラク・オバマともに譲らず、大激戦の様相を呈している。AP通信(東部時間6日午前4時)によれば、獲得代議員数はクリントン「725人」に対して、オバマが「625人」と接戦を繰り広げている。おそらくは、さらに数週間、この2人の民主党候補の戦いは続くだろう。
いずれにせよ、11月の大統領本選を経て、マケイン、クリントン、オバマの3人のうちのひとりが、ホワイトハウスへの切符を手に入れることは間違いなさそうだ。
民主党が勝つと
日本に不利と説く的外れ
大統領選挙は、米国でのこととはいえ、「同盟国」である日本にとっても他人事ではいられない。永田町の為政者たちもこの選挙の行方を大いに注目している。政治家のみならず霞が関の官僚やメディアも同様だ。
当然ながら、彼らの多くの関心事は、2009年に就任する米国大統領が「誰」になるのかという点だ。ところが、実はそれ以上に、大統領候補者たちが、日本にどのような人脈を持ち、どのような対日政策を採用しようとしているのかということにより注視している。
ところが、この件に関して、テレビや活字媒体でコメントしている「専門家」や「評論家」たちの意見はあまりに心もとない。と言うか、大抵が的外れで、無責任ですらある。
テレビでは、米国政治に詳しいとされるコメンテーターが「民主党候補が勝ったら日本バッシングが始まる」というような意味不明な解説をしていたり、同じくNHK出身のジャーナリストが「クリントンもオバマも、日本を知るスタッフをまったく擁していない」などという頓珍漢なコメントを週刊誌に寄せていたりしている。
こうした無責任な「分析」は、放置しておけばよいだろう。所詮、自然淘汰されるか、そっと修正されるのが関の山だ。特段ムキになる必要もないし、真に受けること自体、時間の無駄だ。