どうも最近は経済や政策に関することばかり書いていたので、2013年の締めくくりとなる今回は、今年のコンテンツ産業でもっとも注目すべきと考えられる出来事について説明しておきたいと思います。それは音楽ビジネスでの“レーベルサービス会社”の成長です。
“レーベルサービス会社”とは何か
これまで、アーティストが音楽活動を行なう場合、大別すれば、
①レーベル(レコード会社)と契約して、契約期間は、レコーディング費用の捻出に加え、流通(リアル、デジタル)とプロモーションのすべてを任せる
②レーベルに属さず、自力か少数のスタッフでレコーディング、流通、プロモーションなどを行なう
のどちらかでした。
もちろんかつては①が圧倒的に音楽ビジネスの主流でしたが、過去15年の間にデジタルとネットが普及するに伴い、レーベルの存在価値が徐々に低下してきた面は否めません。
そうした中で、今年になって欧米ではレーベルサービス会社という新しい業態が普及しました。この会社は、一言で言えばコンサルタントみたいなものなのですが、レーベルが複数年か複数枚のアルバムで契約するのに対して、アルバム1枚単位で契約し、そのアルバムの流通やプロモーションを行なう形になっています。
そして、欧米では、レーベルと契約した場合はアルバムの売り上げのうちアーティストの取り分はだいたい20%程度であるのに対して、レーベルサービス会社との契約ではその割合が非常に大きくなっています。例えば、ドイツが本拠地のレーベルサービス会社BMGの場合、売り上げのうち75%がアーティストの、そして25%が会社の取り分となっています。
ちなみに、このBMGはドイツのメディア・コングロマリットのベルテルスマン傘下の企業ですが、2008年に当時の傘下レーベルであったBMGをソニーに売却しています。つまり、一度レーベルを手放した企業が、今度はレーベルサービス会社をやっているのです。