なお、現在の世界ランク1位はコストナー(イタリア)だが、これは出場試合数が多いため。ライバルのひとりであることは確かだが、これまで得点が200点を超えたことはなく、浅田や鈴木にとってはさほど怖れる選手ではない。

男子シングル希望の星・羽生結弦
強敵チャンとの争いは「五輪運」が左右!?

 一方、男子シングルもメダル獲得が有望だ。その期待がかかる一番手は羽生結弦(19)。フィギュア男子はこの3年間、カナダのパトリック・チャン(22)の天下だった。世界選手権は2011年から3連覇、GPファイナルも2010年、2011年と連覇している。だが、今季のGPファイナルでは羽生がそのチャンを破って優勝した。

 五輪で勝つには「五輪運」が必要だといわれる。4年に一度の大会が競技者として最も脂が乗る時期、あるいは伸び盛りの時期に当たり、調子をピークに持って行けるかどうかが結果に表れるというわけだ。チャンは前回の五輪は5位に終わったが、その翌年から絶対的な強さを発揮するようになった。対する羽生は前回の五輪シーズンはジュニアの大会に出ていた。世界ジュニア選手権の優勝をはじめ王座を独占する強さを見せたが、19歳以下のカテゴリーに過ぎない。シニアのGPシリーズに出場し始めたのはその翌年からで、そこそこの成績は収めたが、そう目立つ存在ではなかった。

 だが昨年からシニアの大会でも優勝争いをするのが当たり前になり、直前のGPファイナルでついに王者チャンを破ったわけだ。五輪の中間年に王者として君臨したのがチャン、五輪の前年からめきめきと実力を発揮しはじめ五輪直前でチャンを破ったのが羽生。「五輪運」を持っているのは羽生の方ではないだろうか。

 もちろん優勝候補の最右翼はチャンだ。これまで積み上げてきた実績、高いスケーティング技術、6種類の3回転ジャンプと4回転トウループを安定して跳べる実力は今もトップ。が、羽生も負けてはいない。ジャンプは6種類跳べるし、4回転のトウループとサルコーも武器に持つうえ柔軟性を生かした表現力もある。持っている「五輪運」を生かし、完璧な演技を見せれば、チャンを破って世界の頂点に立つことが現実になる。