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地方からITエンジニアがいなくなる

赤井 誠 [MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長]
2014年1月8日
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 東日本大震災の後、首都圏の電力不安を背景に、多くの企業がデータセンターを首都圏外に移転する、あるいは、バックアップ拠点を持つということを検討したが、大きく増加するにはいたっておらず、IDC Japanの調査によれば、むしろ首都圏のデータセンター需要は、地方に比較して、増加しているということのようだ。

 ユーザーとなる企業がすぐにデータセンターへ駆けつけたいという要望や、既存の電力・ネットワークなどのインフラストラチャーなどが、すでに首都圏に集中してしまっている影響で簡単には移転できないのだ。

 さらに、地方にデータセンターを誘致するにしても、データセンターの運営には、受託開発業務のように、たくさんのエンジニアを必要としない。また、地方のSI事業者にとっては、受託開発エンジニアを中心に事業を展開していたため、現在必要とされる高度なデータセンター運営を実施できるリソースを持っておらず、簡単に人員移転を実施しにくい。これが、地方におけるITエンジニアが増えない原因である。

 この状況が変わらないと、どのような未来になるだろうか。

 すでに、地方からITエンジニアが減っていくという構造が始まって、10年以上が経過している。今後、精力的な取り組みを実施したとしても、数年では解決できないだろう。そして、今年4月以降の消費税増税により、景気が悪化した場合には、地方から悪影響が出てくるのは、容易に想像できる。そうなってしまっては、ITエンジニアを呼び戻すことはさらに困難になっていくだろう。つまり、ITエンジニアが首都圏に転勤する状況が変わらないのだ。

 ITと経営が一体化している時代、地方からITエンジニアが消えていくことは、地方経済の復活を期待したい2014年において、考慮しておきたいことなのだ。

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赤井 誠
[MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長]

ITマーケティングコンサルティング等。京都大学工学部卒、神戸大学大学院経営学研究科修了。キャリア・デベロップメント・アドバイザー。
日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社後、ソフトウェア開発を経て、2003年からLinuxビジネス立ち上げのリーダーとなり、日本HPをLinux No.1ベンダーに導く。2010年より、株式会社サイバーリンクスにて新規事業開発に従事。2011年4月 MKTインターナショナル株式会社を起業し、現職。 『マックで飛び込むインターネット』(翔泳社) の執筆以降、ライター活動も実施中。『リーダーにカリスマ性はいらない』(中経出版)、『MySQLクックブック』『JBoss (開発者ノートシリーズ) 』(オライリージャパン) など著訳書多数。
ブログ:あかいまことのブログ
Twitter id: mktredwell

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