2009年までの3年間で、M&A(企業買収・合併)に3000億円を投じる計画だったが、協和発酵工業や食品大手のナショナルフーズ(オーストラリア)買収により、この1年で使い切った。
新たに、12年までの向こう3年半で3000億円を用意したが、8月の乳業大手、デアリーファーマーズ(オーストラリア)買収で、残り2200億円になった。
これまでのM&Aは、ビール事業の枠を超えた基盤づくりのためだったが、現在はシナジー効果を目指す新たな段階に入っている。
最大手2社の買収により、オーストラリアでのシェアは圧倒的なものになる。15年までの長期経営構想(KV2015)で掲げた「アジア・オセアニア地域のリーディングカンパニーになる」ためには不可欠だった。
06年策定のKV2015の数値目標は売上高3兆円、営業利益2500億円。それぞれ9年間で倍増させる計画だが、決してむちゃな数字ではない。第1ステージに当たる09年度までの中期経営計画は前倒しで達成できるため、8月に計画を上方修正したほどだ。
もちろん、国内酒類事業が安定的な基幹事業であることに変わりはない。しかし、海外では大型国際再編が進み、国内では市場が頭打ちになっている。
そうした厳しい環境のなかで成長を続けるためには、酒類、食品・飲料、医薬、そしてそれに次ぐ第4の柱となる事業の育成・強化は欠かせない。引き続き、食と健康の分野で積極的に企業買収や提携関係の強化を進めていく。
(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)