創業80周年を迎えた制御機器大手、オムロンが好調だ。今年度の純利益は過去最高となる430億円の見通し。牽引役は中国市場だ。商習慣が異なり成長が鈍化している中国市場を攻めあぐねる企業が多い中、オムロンはいかに攻略しているのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)
昨年12月2日、中国・上海市の浦東新区。ここ20年で、世界で最も発展したと称される上海の“副都心”の空は、黄色いもやがかかっていた。
高層マンションと建設用の重機や荒れ地が混在する風景の中、車を走らせていると、緑に囲まれた一角にそびえ立つガラス張りの巨大な建物が現れた。上海市が約17.5億人民元(約300億円)を投じて建設した上海科学技術館である。広場を挟んで向かい合うのは浦東新区人民政府の役所。上海市に所属する一行政区でありながら、重要都市並みの権限を持つ。
副都心の“中枢”を一望できる上海科技館上層階の展示場にはこの日、上海市の幹部らが招かれていた。展示場の借り主は制御機器大手、オムロンである。展示会の開会式に登壇した山田義仁社長は、来賓にこう語りかけた。
「オムロンは約40年前から中国との交流をスタートし、日本の製造業で最も早く中国に進出した企業になった。オムロンが中国に提供する新しい価値と最新の技術を、ぜひご覧いただきたい」
Photo by Hiroyuki Oya
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