2月18日にFRBは公定歩合を0.5%から0.75%へと引き上げた。
定例のFOMC(米連邦公開市場委員会)が予定されていなかったこともあり、金融市場に一時動揺が生じた。サプライズが大きくなった背景には、「名称の問題」と「大雪」があった。
公定歩合はディスカウント・ウインドーによる金融機関への貸出金利に適用される。同貸出は日銀の補完貸付と同様にロンバート型貸出であり、金融機関が市場で資金を借りられないときに“駆け込み寺”的に利用する制度だ。
ディスカウント・ウインドーの利用額は、2008年10月に1119億ドルを記録したが、今年2月17日には143億ドルに減った。市場のパニックが沈静化したためだ。
利用額がこれだけ減れば、公定歩合を引き上げても、家計や企業に金融引き締め効果は及ばないとFRBは説明している。
また、FRBは、公定歩合の引き上げは政策金利(フェデラルファンド金利誘導目標)引き上げにつながる出口政策とは異なると強調している。
昔と異なり、公定歩合の位置づけは、政策の中心ではなく、補助的な場所へと移っている。しかし、市場参加者には昔のイメージが残っており、公定歩合の変更に重要な意味があるかのような誤解が一時生じた。