日経平均株価、TOPIXに並ぶ日本株の指標にしようと、新たな指数が導入された。高収益企業への投資を促すとの高邁な理想とは裏腹に、早くも懸念が広がっている。
「あーあ、年末より下がってるじゃないか」──。1月6日の東京証券取引所大発会。取引開始の午前9時となり、会場の大画面に日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などがいっせいに映し出されると、日経平均の始値は1万6147円と、2013年12月30日の終値から140円超、下落。あでやかな振り袖姿の女性が彩る会場は、落胆に包まれた。
折しもこの日、日本取引所グループ(JPX)と日本経済新聞社が共同開発した株価の新指数「JPX日経インデックス400」の算出が始まった。
Photo by Satoru Okada
取引開始直前には、司会の女性がわざわざ「新指数も画面に表示されますので、皆さんご覧ください」と呼びかけたにもかかわらず、出席者の多くは日経平均に注目し、がっくり肩を落とした。この日のニュースは結局、一時400円超に及んだ日経平均下落の話題でもちきりだった。
新指数は、東証1部だけでなく新興市場を含め、過去3年間の業績や、資本効率を示すROE(自己資本利益率)の高さなどに応じて選出した、400銘柄の時価総額を指数化したものだ。
1銘柄の時価総額を全体の1.5%までとし、日経平均のように「値がさ株」の変動で大きくぶれることはない。また、東証1部の全銘柄を対象とするTOPIXのように、低収益の企業は含まない。「投資者にとって魅力の高い銘柄をピックアップした」(斉藤惇・JPX最高経営責任者)と、JPXや日経は強調する。初日こそほとんど注目されなかったが、はたしてこれから、日経平均やTOPIXに並ぶ存在となれるだろうか。