秘密その2 心地良き律動

 第2に、リズムです。

「Progress」は繰り返し聴きたくなるリズムの心地良さがあります。ゆったりとしたテンポの8ビートが腹にずしりと効きます。同時に、胸が高鳴るような刺激もあります。

 音楽の核にあるものはリズムで、リズムの本質は生命そのものです。

 心臓が血液を身体中に送り出すことが生命維持の基本中の基本であり、まさに其処からビートが生まれていることからも頷けるはずです。ドラムとベースが織り成すリズムがバンドサウンドの核です。その核が完全無欠であれば、鬼に金棒です。

「Progress」の場合、最初の4小節はナチュラルに歪んだギターのリフです。5小節目から助走が始まります。ベースが1泊目に根音を提示。ハイハットが2拍目と4拍目に入り、ビートを予感させます。そして、8小節目に入りタムとスネアがフィルインし加速します。そして、9小節目の頭からトップシンバルとともにドラムが全開し、ベースが重い骨太な音色で8ビートを刻みます。その瞬間の快感こそ、ロックの醍醐味です。

 そして、サビの直前のブレイクで全ての音が一瞬消えます。その刹那の刺激もまた、ロックの真髄です。音の不存在がかえって響きを直感させるのです。

「Progress」のドラムとベースが中心になって創りだしているリズムは、しかし、とてもシンプルなパターンです。特別なことはやっていません。が、音色とグルーヴ感で胸を締め付けるのです。それこそドラム奏者の真の実力です。それもそのはず、屋敷豪太ですから。別名GOTA。シンプリー・レッドのトラマーとしても活躍。ソロアーティスト、他のアーティストのプロデューサー、そしてスタジオミュージシャンとしても世界で活躍しています。ベスト盤で彼の力量が分かります(写真)。