実話を元にしたチャイニーズ・サクセスストーリーとして描かれた『アメリカン・ドリーム・イン・チャイナ』は、陳可辛(ピーター・チャン)監督の作品だ。成冬青、孟暁駿、王暘は大学時代、アメリカンドリームを一緒に夢見ていた仲間だ。大学講師をクビになった成冬青は廃工場で英会話教室を始めたのをきっかけに、3人は中国初の民営教育塾を作り、ついに教育業界での成功を収める風雲児になる。

中国人が自分自身に向けた痛烈な皮肉

 なぜこれらの映画に関心をもったのかというと、中国国民がどこに関心を寄せているのかを読みとることができるからだ。

 『海洋天堂』は自閉症の子どもの成長を通して、親子の愛を描くハートフルストーリーと紹介され、ジャンルもヒューマンストーリーと位置付けられてはいるが、中国の映画としては珍しく障害をもつ人々に温かい目線を注いだ作品だ。弱者や障害者への目線と社会の価値観の変化が感じられた。北京電影学院文学部の副教授である薛暁路監督自身も長年、自閉症の子どもを助けるボランティアをやっている。

 『北京ロマンinシアトル』は中国社会に見られる価値観の変化をさらに凝縮した形で見せている。今の中国ではよく流行っている言葉には、「土豪」というのがある。つまり成金だ。成功者はつまり金持ち、金持ちはイコール成功者という拝金主義の社会的風潮を嘲笑う表現として「窮得只剰銭了(お金しか残らなくなったと言われるほど貧しくなってしまった)」というのがある。中国人が自分自身に向けた痛烈な皮肉と批判だ。『北京ロマンinシアトル』はこうした痛烈な皮肉と批判をベースにしているから、多くの観客の共鳴を得て、大ヒットを飛ばす映画となったのだろう。

 ハイアール、レノボ、華為(ファーウエイ)など世界へ雄飛する中国企業が次第に増えてきた。こうした企業はなぜ頭角を現せたのだろうか、経営者はどういう人たちなのか。世界の人々がこれらのテーマに対して関心を寄せている。『アメリカン・ドリーム・イン・チャイナ』はまさにこうした世界的な関心に回答を出している。

 総じて言えば、中国市場、中国の消費者、中国のビジネス環境、中国企業を知りたいなら、こうした映画を見るという方法もある。