「消費の低調」と「承認」
一見相反する両者をつなぐものの正体

 このほかにも何人かの20代、30代にヒアリング調査を行ったが、共通項として見えてきたのは以下のようなものだ。

・“見栄”や“付き合い”のための消費がない
・趣味にはお金を投下する
・女性は服にはお金をかけないが、美容費は必要経費として計上している模様
・男性の方が貯金しているよう
・男性は将来を不安視している傾向が強く、貯金している

 同世代の筆者としては、どれも不況時代を生き抜くサバイブ法として共感を覚える。一方、現代の若者は、かつての若者より消費としては満たされているという傾向が強いのは気になるところだ。満たされているというのは物質的なものに満ちているというよりも「欲しいモノがない」という満たされ方だ。

 これは特に新しい発見でもないと思うが、多様性を認める文化の成熟と関係があるように思うのだ。よその人が高級車を乗り回しても、自分は自分の趣味に没頭すれば良いというように生きられるという意味では、各々の生き方に干渉しない時代性が関係するのではないかと。

 元々自分にあった趣味趣向があり、それに沿った生き方をすれば良いというのは、かつての若者が、恋人のためにイケてるフレンチのお店を予約したりといった「ナンバーワンを競い合う時代」から、「オンリーワンを志向する時代」への変化と重なる。現代の方が過去よりも成熟した時代を生きているかもしれないが、オンリーワンという言葉は「私という存在はそもそも肯定されて当然」という考えに短絡する可能性もある。これが相反する「消費の低調」と「承認」をつなぐものの正体なのかもしれない。

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