6年生だった次女を亡くした佐藤敏郎さんは、個人的に90項目にわたるメモを用意していたが、この日は未消化の項目が半分くらい残ったという。

「最終報告書案は疑問や矛盾が多い。自分だけでまだ半分ですからね……。他の方もまだ色々と思っていることがありますし。報告案の“案”を取るためには、検証委員会がクリアしなければならない点がかなりある」

「難しいから調査しないと言われたことも多かったが、核心に近づく努力をしてほしい。検証委員がやらないとしたら、誰がやるのか。これだけの犠牲があって、これだけの思いを込めて話をしていれば伝わるはずと思って、3年間やってきた」

 報告会後に佐藤さんは、疲れた顔でそう話した。

 また、ある父親は、最終報告案の内容のあいまいさを憂いて「今日が中間報告みたいだ。なんで、最終報告でこんなに疑問や訂正が出てくるのか?」と頭を抱えた。

 検証委は最終報告に向けて、遺族たちが委員に対してどの部分を踏み込んで調べてもらいたいと思っているかを、改めて把握し、反映させる必要がある。

 遺族の納得がいくようにしても正しい検証にはならないという意見はあろうが、現状の報告案では、遺族たちが指摘するように、事実認識の間違いや表現の精査が足りない部分、分析が甘い部分が見られるのは確かだ。このため、出された提言の多くが、大川小で起きた出来事に基づいたリアルなものになっていない。また、教訓を得て提言できたからといって、真相究明そのものを“未完成”のまま終わらせて良いということではないだろう。

 事務局によれば、次回の9日も、参加委員は室﨑委員長だけになりそうだという。事務局としては、最終報告の提出は2月中を目指すが、室﨑委員長は遺族に対して、3月11日を超えないようにしたいという思いを伝えた。

(加藤順子)

◆1月19日大川小検証委員会「最終報告案」
大川小検証委「最終報告書案」に落胆する遺族
委員長の「ささやかな達成感がある」発言に唖然

◆最終報告案提出の前に遺族から指摘も
大川小遺族が検証委「設置要綱違反」を指摘
1月19日に最終報告案も一悶着か

◆遺族向け報告会でも検証委に懸念の声
信憑性に欠ける生存教諭の証言掲載はなぜ?
大川小検証委の「公正中立・客観性」に遺族が疑問符

◆有識者ヒアリングで柳田邦男さんが検証委を指摘
大川小検証委で柳田邦男さんが根拠の欠如を指摘
遺族が「戦慄を覚えた」有識者ヒアリング

大川小学校関係者や地域の方、一般の皆さまからのお話をお聞きしたいと思っています。情報をお持ちの方は、下記までお寄せください。
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<お知らせ>
筆者の新刊
『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)池上正樹/加藤順子・共著が刊行されました。3.11、 学校管理下で、なぜ74人もの児童たちが、大津波の犠牲になったのか。なぜ、「山へ逃げよう」という児童たちの懸命な訴えが聞き入れられず、校庭に待機し 続けたのか。同書は、十数回に及ぶ情報開示請求や、綿密な遺族や生存者らの取材を基に、これまでひた隠しにされてきた「空白の51分」の悲劇を浮き彫りに していく。