会ってみたいと思わせる
「専門家トーク」術

 電話セールスのノウハウで私が勧めているのが、2人1組でトークをすることです。1人が電話をかける係、そしてもう1人を“専門家”にしてしまうわけです。

 お客さまが家庭の主婦であれ、あるいは会社のビジネスマンであれ、専門家には弱いものです。自分に興味のある話なら、もっと詳しい人から聞いてみたいと思うはず。その心理を利用するのです。

 まず電話をして、お客さまが少しでも関心を持ったら、「ちょっとお待ちください。今日、たまたま専門家の方がいますので」と電話を代わります。その上で、もう1人が登場して専門的な話をする。この連係プレーによって、自分や商品に対する信頼を得ていくわけです。

 ここでいう“専門家”とは、本当に研究者だったり、大学の先生だったりする必要はありません。できれば上司や先輩、あるいは同僚でも十分です。その商品を売っているプロという意味では、営業マンも専門家のはずです。

 実はこの手法は、すでに訪問営業で使われています。たとえば指導も兼ねて、上司や先輩が若い営業マンに同行することはよくあります。基本的なトークは若い営業マンに任せつつ、補足的な説明やフォローを上司や先輩が行うというパターンです。あるいは銀行でも、ここぞという交渉相手に対しては支店長が出向いて挨拶するものです。

 このとき、お客さまは上司や先輩の名刺を見て、その人を“権威”と感じます。少なくとも、若い営業マンより知識や経験が豊富な分、信頼できそうだと思います。それを、電話セールスに応用するわけです。