欧米主要国の掲げる財政健全化目標や、実際に取り組んでいる財政再建努力のペース(PBに利払費を含む財政収支ベースでの改善幅)と比較すれば(図表)、わが国の財政制約の認識や財政再建への取り組み方は、きわめて悠長なものであることがわかる。これらの欧米主要国は、わが国との比較でみれば、はるかに財政事情は良好であるにもかかわらず、安定的な財政運営を中長期的に確保し、将来世代に重い負担のつけを回したりすることのないように、国債残高規模をきちんと抑制すべく、PBではなく、正味の健全性が問われる財政収支(*)ベースで相当な幅の財政再建にきちんと取り組んでいるのだ。

 わが国としても、これらにならい、中期的に国債残高規模の増加傾向に確実に歯止めをかけることを明示的な目標として掲げ、財政収支の赤字幅に相当する新発国債発行額を指標として中期的な工程表を組み、財政再建に取り組んでいくことが望ましい。

(*)「財政収支」とは、「歳出」に、社会保障関係費や公共事業費といった基礎的財政収支(PB)対象経費だけではなく、利払費をも含めたうえで、「歳入」との差から算出する収支。これを均衡させることができれば、名目経済成長率と市場金利との高低の関係にかかわらず、国債残高規模の増加傾向に確実に歯止めをかけることが可能となる。