2023.1.31 正念場の国債管理を危うくする自民党「60年償還ルール見直し」の悪手 日銀のYCCによる長期金利抑制が限界に近づくなかで国債管理政策と財政運営は正念場だ。国債費軽減を狙って自民党内で上がる国債の「60年償還ルール」見直しは市場の不信を強め一段の金利急騰を招きかねない悪手だ。
2022.11.17 「トラス・ショック」で浮き彫り、中央銀行が分かつ日本と英国の財政の命運 大規模減税で国債が暴落、政権が崩壊した英国と国債市場が無風の日本との“明暗”は、中央銀行が市場の価格発見機能を最大限に尊重しているかどうかの差だ。日銀が国債金利を抑える日本の財政はいずれ厳しい暗転の局面を迎えるだろう。
2022.8.2 日銀の頑なな緩和維持、「YCC政策」がもたらす日本経済の“結末” マイナス金利や長短金利操作についての世界の中央銀行の評価は必ずしも良くはない。貸出金利低下の効果がはっきりしないことや、財政ファイナンス政策に陥る懸念があるからだ。日銀の「緩和維持」で日本経済が好転するかは疑問だ。
2022.4.1 欧米中銀が金融正常化開始、取り残された日銀の「緩和維持リスク」 インフレ圧力の高まりで欧米の中央銀行が超緩和政策からの「正常化」にかじを切ったが、取り残された日本銀行は円安加速やウクライナ問題による資源価格高騰のほかにも「緩和維持リスク」を抱える。
2021.12.13 世界経済「インフレ局面」転換で露呈する日銀の“不都合な真実” インフレ懸念の強まりからFedが金融政策正常化に動くなかで日本銀行は「出口戦略」を封印した状況だ。だが内外金利差拡大で円安が加速すれば隠れていた深刻なリスクが一気に表面化する。
2021.11.12 テーパリング開始でFedがいよいよ問われる「埋め合わせ戦略」の当否 テーパリング開始を決めたFedだが、2%物価目標を超えた後も一定期間、緩和を続けるとしており、インフレ加速の対応が手遅れになる懸念もある。手綱さばき次第では日本の政策運営も試練を迎える。
2021.4.16 終わらせ方の議論なき日銀の金融政策は、まるで第二次世界大戦の日本軍 世界をコロナ禍が覆って1年が経つ。繰り返す危機に、国としていかに対応するか。その際、政府と中央銀行はどのような役割分担で危機対応を行うべきか。欧米各国とわが国との間では、この考え方に大きな違いがある。その違いが何をもたらすのかをみ…
2021.4.2 日本銀行の債務超過転落が長期化したら、何が起こるのか FedやECB、イングランド銀行などの姿勢や金融政策運営は、実際のところ、日銀とはかなり違う。日銀による“事実上の財政ファイナンス”に乗じて、世界最悪の財政事情にある日本がこのまま放漫財政を継続すれば、いかなる事態に陥ることになるのか。…
2021.3.19 欧州中央銀行は、なぜ国債買い入れに先んじてマイナス金利を導入したか ECBは各国政府から独立した立場を守りつつ、どのような金融政策運営を行って、ギリシャを除くユーロ圏の重債務国の財政破綻を回避し、欧州債務危機を切り抜けたのか。その背後では、いかなる意思決定の枠組みがあったのか。日銀との違いを検証して…
2021.3.12 英国では中央銀行の損失は政府補填を約束、議論封じの日本 黒田日銀総裁はこれまで、出口戦略について何度問われても「時期尚早」の一点張りだった。一方英国では、大規模な量的緩和を行う際に中央銀行が債務超過に陥ることを最初から見通し、国としての対応をしっかり講じている。日本と英国の違いとは、何…
2021.3.5 Fedと比べてわかる、日銀「出口戦略議論」無視の異様さ リーマン・ショック後に「ゼロ金利制約」に直面したFed(米連邦準備制度)は、どのような姿勢で未知の金融政策運営に取り組んでいったのか。それは、日銀の政策運営とはかなり異なるものだった。その違いが、米国と日本の経済・財政に及ぼす影響と…
2021.2.26 量的緩和政策が物価も景気も押し上げなかった「現実」 日銀は異次元緩和を続け、現在に至るまで“出口”に関する説明を公に行ったことがない。ここにきてマイナス金利まで導入し、国債やETFを大量に買い続けている。そうした状況は、欧米の主要中央銀行も同様だ。彼らの金融政策運営は、いつから様変わ…
2014.12.3 放置されたままの将来世代へのツケ回し 政府・日銀の一体化で失われた財政規律――日本総合研究所上席主任研究員 河村小百合 安倍政権2年間の財政運営を評価すると、日銀による巨額の国債買入れで財政規律は緩み、歳出改革は行われず、政府債務残高は増加。消費増税の先送りと日銀頼みの財政運営が続くとすれば、将来世代へのツケ回しの規模は大きくなるばかりだろう。
2014.2.4 財政再建の選択肢(下) 40兆円規模の財政緊縮を実現する二つの道――日本総合研究所主任研究員 河村小百合 わが国が国債残高の増加を止めるには、40兆円規模の財政収支改善を実現する必要がある。今回は、この「気が遠くなるような規模」の財政構造改革を実現するための選択肢として、いかなる方向性があり得るのかを考えたい。
2014.1.28 財政再建の選択肢(上) GDP比10%の緊縮が必要!わが国財政の現状と課題――日本総合研究所主任研究員 河村小百合 安倍政権は国民の「痛み」を伴う構造問題への取り組みが遅れている。その最たるものが財政問題だ。すでに、国際機関は厳しい財政緊縮が必要だと診断しているにもかかわらず、財政運営はいまだ拡張路線を採っている。
2013.8.19 そして預金は切り捨てられた 戦後日本の債務調整の悲惨な現実 日本の政府債務が1000兆円を超えた。「日本は国債をほとんど国内で消化しているのだから大丈夫」という議論もあるが、本当だろうか。実は第二次世界大戦終戦直後にわが国は国内デフォルトを実施した。その実態をつぶさにみる。
2013.6.5 これから求められる金融・財政政策運営 50兆円規模の財政再建の具体像を示せるか――日本総合研究所主任研究員 河村小百合 異次元金融緩和がスタートして2ヵ月が経つ。足もと、国債市場、株式市場も乱高下しているが、これは何を意味しているのか。これからわが国に求められる財政・金融政策運営について考えたい。