富士ゼロックスは役員会議で専用のタブレットを活用し、ペーパーレス化を実現した

「会議を始めます。手元の画面をご覧ください」――。

 東京・六本木の東京ミッドタウン。会議室に集まった約30人の参加者たちが、それぞれの席に備え付けられた液晶タブレットの画面に目を落とす。時折、専用のタッチペンで、画面に表示されたパワーポイントの資料に書き込み。卓上に配布資料はない。

 タブレットを活用し、ペーパーレスで会議を進める光景は、もはや珍しくないかもしれない。だがここは、事務機器大手、富士ゼロックスの本社6階。オフィスで使う紙に“依存”するビジネスを手がける企業の役員会議室なのだ。

 音頭を取って進めたのは2008年に「複写機からの卒業」を宣言した山本忠人社長。「わが社は言行一致で、会議は紙を一切使わない。そのシステムはそのまま外部に売れる」と強調する。

 富士ゼロックスの13年度上半期の売上高は、前年同期比599億円増の5400億円、営業利益も同100億円増の462億円と増収増益。アジア・オセアニアや米ゼロックス社向け製品の輸出増が好調のけん引役だが、飽和市場に近い国内でも売上高を伸ばした。

 その要因の一つは「富士ゼロックス流で顧客の困りごとを解決し、生産性改善につなげる」(山本社長)という、ノウハウを外販するソリューション事業。その代表例がペーパーレスの会議システムであり、模範例となるべく自ら実践しているというのだ。