複数の証券会社で「特定口座を持っている人だけ」ができる特典とは?
このほか、複数の証券会社で取引をしている場合にも、確定申告をしたほうがトクになる場合があります。
たとえば、A証券で100万円の利益(源泉徴収税額を10万円とします。以下同)、B証券で20万円の損失、C証券で5万円(源泉徴収税額5000円)の利益となっていたとしましょう。
この場合、このまま何もしなくても、もちろん問題はありません。
しかし、この例の場合、3つの口座の収支合計は「85万円の利益」になるので、本来の税金は8万5000円ですむはずなんですね。それをすでに10万5000円納めているというわけです。
そこで、3証券会社から送られてくる「特定口座年間取引報告書証明」の数字を合算して確定申告をすると、2万円(10万5000-8万5000円)が戻ってくることになるのですね。
ところで、この特定口座制度ですが、一つ面白い点があって、実は自分に都合のいい特定口座のみを選んで確定申告できるのですね。
たとえば、上の例の場合、株式の取引で生じた所得が85万円ということになります。この場合、もし自分が働いていなかったりして、ほかに稼ぎがなく誰かの扶養になっていたりすると、総所得が38万円を超えてしまうので扶養から外れてしまいます。
そこで、この場合、B証券とC証券の特定口座分のみを確定申告する。
そうすると、株取引の利益は▲20万円+5万=▲15万円となって総所得は0円のままですので、扶養から外れることはありません。
このあたりは、今年から導入された「少額投資非課税制度」、通称「NISA(ニーサ)」にはない制度です。特定口座の特典と言ってもいいかもしれません。