ソンした場合は「繰越控除」を使うとおトク!

 また、上場株の取引で被った損失は、確定申告をすることで翌年から3年間、その赤字を繰り越すことができます。
 この制度を「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除」といいます。

 たとえば、昨年1年間で100万円のソンをした場合、この手続きをしておけば、今年と来年と再来年の株取引の利益合計が100万円に達するまで税金がかかりません。
 もちろん、特定口座内での取引であれば源泉徴収で天引きされていますので、確定申告することでそれら税金が戻ってくるということになります。

 いずれにしても、この手続きは確定申告しないと認められません。
 また、繰越期間の3年間は、利益や損失の有無にかかわらず確定申告が必要です。
 つまり、もし今年1年間一切株取引をしなかったとしても、確定申告はしないといけませんのでご注意ください。

 また、言うまでもありませんが、この制度は「少額投資非課税制度(NISA)」には適用がありませんので、通常の株取引は「特定口座」、投資信託やREIT(不動産投資信託)などは「NISA」といったように、投資する商品によって口座を分けたほうがいいかもしれません。

 なお、この損失の繰り越し制度はFX(外国為替証拠金取引)などの先物取引にもあります。
 今回はFXについては触れませんでしたので、関心のある方は別途ご確認ください。
 この繰越控除については、確定申告で使う用紙も通常のものより多く、添付する用紙もあります。
 自分一人でやってやれないことはありませんが、わからないときは税務署や地元のお近くの税理士などに尋ねてみてください。


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岩松正記(いわまつ・まさき)
通称“ぶっちゃけ税理士”。東北税理士会所属。山一證券では同期トップクラスの営業成績。アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場準備担当役員や会計事務所勤務など、10年間に転職4回と一時期無職になった経験を活かし、創業から事業承継・M&Aまでを網羅して中小企業を支援。何事にも本音でぶちあたるその姿が共感を呼び、政府系起業支援団体の第1期アドバイザーとして指名数東北・北海道ナンバーワン(全国3位・起業相談部門)となったほか、メガバンクや企業での講演、プレジデント・日本経済新聞への掲載などマスコミ取材も多数。関与した経営者は2000人超。元査察の税理士に仕えていたため、税の世界の裏事情にも詳しい。