

しかし、である。今までもさんざん問題視されてきたガチャの当選確率や確率表示問題ではなく、「箱の中にあたかも当たりがたくさん入っているかのようなイラスト」が問題になったとすると、どこまでがゲーム上の演出として許されるのかという問題が出てくる。たとえば、あるくじ引きで箱に「豪華賞品がよく当たる!!」と書かれていることと、「箱の中にあたかも当たりがたくさん入っているようなイラスト」の違いはどう考えればいいのだろうか。
これについて、消費者庁の片桐一幸表示対策課長は「もし今回の話を考えるのであれば、不当表示の問題のうち有利誤認の問題として捉えることになると思うが、違反しているかどうかは個別の判断となる」とし即時の判断は避けたうえで、「判断は消費者が商品を選択するとき、表示全体にどういう認識を受けるかどうかが基準に照らし合わせて問題になる。そして、判断のポイントはイラストの状態が社会通念上許される範囲であるかが重要になる」と答えた。
有利誤認とは「表示からはオトクだと思われるが、思ったほどオトクではなかった」というような話で、「国産牛だと思ったら他国の牛だった」というような、“優良誤認”問題に分類される食品の産地偽装問題とは異なる。今回はとっても当たりそうに見えるくじのイラストを消費者が「オトクだと思った」かどうかが判断の基準になると考えられる。つまり、判断はあくまで消費者サイドの視点で行われるというわけだ。
しかし、ゲームコンテンツのようなエンターテインメントビジネスの場合、この“社会通念”をどう捉えるかは難しい。たとえば、あるユーザーはイラストについて「当たりがたくさんあるかのように書いてあるイラストは、単なるゲーム上の演出」と思うかもしれないし、別のユーザーは「イラストには当たりがたくさんあるように描いてあるから、すぐ当たらなきゃおかしい」と思うかもしれない。片桐課長はこの点の判断の難しさを認識しており、「ゲームコンテンツの場合は、消費者がどこまで演出と考えているかの判断がポイントになる」とも話している。