
「休む=何もしない」と思っていないだろうか。じつは、休日のダラダラはかえって疲れが残るケースもあるという。重要なのは、心身を回復させるために正しく休むこと。産業医・吉田英司氏は休息の質を見直す必要性を指摘する。集中とリカバリーを繰り返して持続的に働くための休み方改革とは?※本稿は、吉田英司『一生健康に働くための心とカラダの守り方』(かんき出版)の一部を抜粋・編集したものです。
体は休めていても
脳は休めていない?
あなたは悩んでいる時や疲れている時の週末をどのように過ごしているでしょうか。
過ごし方のパターンは大きく2つに分かれています。
1つ目は、疲れているけれど気分転換のために週末は出かけて思いっきり遊ぶパターン。2つ目は、疲れているから週末は家でゆっくり過ごして身体を休めるパターンです。
このうち、メンタルヘルス不調の時に気をつけなければいけないのは、2つ目のパターンです。
最近の脳科学の研究により、悩んでいる時には主に「デフォルトモードネットワーク(以下、DMN)」と呼ばれる脳のネットワークが関与していることがわかってきました。
DMNは、特定の外部タスク(データ分析、締切が近い資料作成など、強い注意を要する作業)を何も行っていない時に活性化します。また、内省的な思考や自己反省、過去の出来事を振り返る際にも活性化する脳のネットワークです。
つまり、週末に「ゆっくり身体を休めよう」と思って自宅で何もせず座っている時も、DMNは活性化し続けています。結果として、悩みや不安を繰り返し考え続けることになり、脳が休まらない状態が続いてしまうのです。