つまり、われわれは、有料放送におけるコンテンツホルダーとして国内トップクラスの地位にあるとも言えます。放送局としての姿だけでなく、自らコンテンツ制作に関わっている面もあります。映画制作・配給会社アスミック・エースもわれわれの傘下だからです。

 この強みを生かし、より調達力と制作力を高め、au利用者にそのコンテンツを届けることが大事だと思います。

 もっといえば、au以外にも届けていくことで、さらなる相乗効果が生まれると考えています。

――「コンテンツのJCOM」を目指すということでしょうか。

 そうですね。顧客のニーズに応じた多様なコンテンツを、束にして提供することがもっとできるでしょう。

 実際、放送受信機の「セットトップボックス」を通じて、誰がどの番組をいつ見ているかは把握しているのですが、このデータを生かしきれていません。データを基に、お好みの番組をお勧めするレコメンド機能も必要でしょうし、番組制作側にもフィードバックしていかなければなりません。

 また、録画した番組をタブレット端末で見ることができるといった取り組みも始めていますので、モバイルに関するマーケティングがより必要でしょう。

 要は「いかに新しい見せ方をしていくのか」ということですね。一般論でわかっていても、社内を動かすとなると違います。

――社内といえば、JCOMはもともと住友商事の子会社だったため、住商出身者が主導権を握っていました。KDDI参入後、住商出身で前任の森修一会長は社内融和に努めていましたが、投資業の商社とインフラ業の通信事業者とでは、考えや事業の進め方に溝があるように感じます。しかも、会長、社長が代表取締役として残る2頭スタイルです。この中で、社内をどう束ねていくのでしょうか。

  確かに社内でも、私がKDDI出身だから、「その企業を代弁しているのだろう」と思う社員もいるでしょう。「KDDIと住商とどちらについた方が得か」と考えている社員もたくさんいると思います。

 ですが、そのようなつまらないことをいっては、前に進みません。そこで今、プロパー社員を中心に、新しい企業理念をまとめる作業を進めています。

 2013年12月に「新生JCOM企業理念ワーキンググループ」を立ち上げました。組織や立場を超えた約30人の若手社員らが参加し、JCOMのブランドをどうすべきかといま考えています。

 もともと、JCOMは、さまざまな地域の放送局を買収してきましたし、4月には業界2位のJCN(ジャパンケーブルネット)とも経営統合します。そのため、このタイミングで新たな企業理念、JCOMのブランドをまとめる予定です。