
Photo by Y.M.
「でも、本と雑誌は、ここの仕事の道具ですから。それに、日本の雑誌は安いんですよ。海外の雑誌は、高いものだと年間50万円ほどです」
バブル期には、さらに高くついていたそうだ。
「当時、日本向けの価格が高く設定されている学術雑誌が結構あったんです。ほとんど読まれない、必要の少ない分冊も混ぜてパッケージしていたんですね」
可能な限り、不要なもの・必要ないものを除いて注文することも、図書館司書の業務であったりする。
補充されない人員、
減らない仕事
1980年代前半に大学を卒業したAさんは、いったん就職したけれども、図書館司書になろうと決意。司書資格を取得できる大学に編入し、資格を手にして卒業した。
卒業後は、ある私立大学に就職した。その後の1990年、Aさんは公務員試験を受験し、合格。東大に配属された。東大の30の図書館・図書室あわせて、同期は10人。当時、東大の図書館・図書室のスタッフは合計300人だったという。
「今は、図書館・図書室の数は変わらず30ですが、スタッフは200人ほどです。新人の配属は、ない年もありますね。年齢構成が逆ピラミッド形になってしまっています」
大学法人化が、人件費削減につながっている側面は否めない。
「そうなんです。人は減るけど、仕事は減らないんです。すると、ゆとりが減ります」
そのゆとりは、業務に必要なゆとりでもある。そのことを主張したこともある。すると「民間に業務を出せばいいじゃないか」と言われたこともある。
「でも、民間委託すると、かえって高くつくはずなんですよね。現在の人件費を増やさずに出来ることではないです」
Aさんが、この図書室の室長になった2007年、スタッフはAさんを含めて6人だった。1人が退職した後、人員の補充は行われていない。業務は減っていない。
「だから、利用者の方々との協力関係が大切だと思っています。利用者の方々、先生方、学生さんたちとは、協力関係を築きたいです。カウンターの第一印象は大切にしています」