親の不安を子どもに伝染させない工夫を

――今の世の中、親も楽観的になれない状況です。

柳沢 そうでしょうね。40代を過ぎたとき、ジョブマーケットでの自分の評価に、誰も自信を持っていない。会社や家庭……誰もが何かに必死にしがみついている状態です。現状のものを守ろうとしている意識が強いから、自発的に何かをしないし、自信も持てない。

 それは、子どもにも伝染します。若い世代は、上の世代の行動を拡大して表現しているだけ。我々大人が自信を持って挑む姿を子どもに見せていく。それが子どもに良い影響を与えます。

――とはいえ、親自身もどうすればいいのかわからない、というのが本音かもしれません。

柳沢 わからなくてもいいのです。開成学園の親御さんのなかには、ご自身が国内で「高学歴」といわれる学校を卒業して、それなりの社会的地位をきずいている方も多い。でも、そういう親御さんは、自分の子どもが自分と同じ道をたどっても将来、今の生活水準を維持できないと気づいています。だから、自分とは別の道を歩ませないといけないと考えている。

 つまり、「今のままではいけない」というある種の危機感、不安感があるわけです。そういう時にどうするか? 上から目線で「おまえ、勉強しないと社会で生き残れないぞ」とはっぱをかけるのではなく、「これから社会はこんなふうに変わっていくだろう、じゃあ、どうすればいいだろう?」と同じ目線で一緒に考えてやることが大事です。

 次の記事掲載は3月7日を予定しています。


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