いよいよ今年4月から8%への消費税増税が始まる。増税によって家計の負担が増すのではないかと不安を抱く人も多いだろう。実は、不安要因は消費税ばかりではない。時を同じくして、我々の生活には増税・負担増ラッシュが押し寄せている。今回の増税をきっかけに、日本の家庭は5年先、10年先を見据えてどんな対策を考えるべきか。経済ジャーナリストとして独自の家計防衛策を提唱し続けてきた荻原博子氏が、徹底伝授する。第3回は、住宅購入を中心に、消費税増税前の駆け込み消費に潜む落とし穴について聞こう。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也、片田江康男)

住宅はむしろ増税後に買うべき?
知られざる駆け込み消費市場の背景

おぎわら・ひろこ
経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌『hanako』(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説。ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。『金持ち老後、貧乏老後』(毎日新聞社)など著書多数。

――前回は、身の回りの節約術や投資リスクについてお話を聞きました。今回は、景気回復期に注目される不動産の品定めの仕方から、お話を聞きたいと思います。消費税増税前の駆け込み需要も手伝い、足もとでは住宅の売れ行きもいいようです。ただ、個人にとって大きなローンを組む不安は大きい。不動産の購入を考えている人、すでに購入した人に対して、注意ポイントを教えてください。

 当たり前のことですが、もう住宅を買ってしまった人は、少しでも早くローンを返済し終えること。日本人は昔「借金」を恥だと思っていました。それが、「ローン」という名前に変わって、イメージの悪さが薄らいだため、みんな大きなお金を借りるのが平気になってしまった。「月賦」という言葉が「クレジット」に、「寸借」が「キャッシング」に変わったのも同じことです。本来、借金は怖いものだという意識を、もう一度持つべきでしょう。

 だから、借金をなるべくしない。もしするならできるだけ早く返す。それが鉄則です。住宅ローンを借りている人は、余裕があるときにはどんどん繰り上げ返済しましょう。

 また、これから不動産の購入を検討している人は、よく吟味すべき。4月に消費税増税がありますが、実はマンションや一戸建てはむしろ増税後に買ったほうがいいんです。高所得者は控除が倍になり、返って来る税金がかなり増えるからです。一方で低所得者も、最大30万円の補助を活用できるようになります。