5日の一般質問に対し、舛添知事は、引きこもり支援に関する質問には答えず、代わって河合潔青少年・治安対策本部長が、こう答弁した。
「引きこもり支援は、住民に身近な地域での支援を充実する必要があり、区市町村における取り組みの促進とノウハウを持つNPO法人等の育成が不可欠。これまでも、区市町村の担当職員を対象とした情報交換会や実務研修、引きこもり支援を行っているNPO法人等の団体に支援技術や経営能力の向上を図る講習会等を開催してきました」
そのうえで、アウトリーチについて、こう続けた。
「引きこもりの若者は、自ら助けを求めることが少ないため、外部の支援機関に結びつけることが困難な場合が多いことから、地域での引きこもりの実態に即した訪問支援は有効な支援策となります。そこで都は、従来の相談支援に加え、国の補助制度を活用した訪問支援を来年度から取り組んでまいります」
しかも、34歳までという支援対象の年齢制限が実態に合わなくなっていることについて、「引きこもりの若者を支援する民間団体の実態調査をもとに、15歳からおおむね34歳までの若者層を主な対象としております」と、民間団体の調査を根拠にしているという認識を示した。
長年、引きこもり問題を取材している筆者も初めて聞く話だ。いったい、どこの民間団体のどのような調査に基づいて、15歳から34歳と設定したというのか。
都の青少年・治安対策本部の担当者に取材してみた。
いくら聞いても根拠がわからない
都が「34歳まで」に設定した理由
都:「当時、東京都若者社会参加応援事業を立ち上げるとき、参加した民間団体からご意見を聞いた」
筆者:「34歳までの根拠については、民間団体の実態調査に基づいて、と答えられているのですが?」
都:「19年度(2007年度)調査です」
筆者:「都の調査ですよね。都が34歳と設定されたのではないですか?」
都:「もちろん都のほうで、意見を聞いて設定しています」
議会の本部長答弁を聞いていると、民間団体の実態調査を基に年齢を設定したかのように受け取れるのだが、どうやら都が、この上限年齢を設定したらしい。
そもそも、このときの都の調査は、最初から対象を34歳までと設定していて、しかも30歳~34歳層が「44%」と群を抜いて多かった。
どこをどう切り取ると、「34歳まで」という根拠に結びつくのだろう。