:「うちが引きこもり支援を始めるとき、若者社会参加応援事業を立ち上げた中で、年齢層の話があるんですが、関係するNPO団体に調査をして、その中で年齢層を決めていったという話です」

筆者:「NPOの意向ということですか?」

:「実態的には、ここまでの層なら、有効な支援になるでしょうということです」

筆者:「では35歳以上は、どうしたらいいんですか?」

:「そこは、概ね34歳と書いてますので…」

 実際、「概ね」で受け入れてくれるとしても、ただでさえ人に会うのが苦手で引きこもっている人たちは、年齢で対象外と制限されれば、ますますハードルが高くなって行きづらくなるだろう。

:「その辺については、保健所の精神保健の範疇で、引きこもりの方も年齢制限設けずに対応しています」

筆者:「ということは、34歳以下についても、保健所で対応すればいいわけで、この引きこもり支援策自体、意味がないということになりませんか?」

:「保健所は、精神疾患の範疇になって来る可能性もあり、そういうアプローチになるかもしれませんが、青少年課なら“健全な若者が自分の力を発揮されないまま家に居る状態ならば、早めに相談等を受けて、支援機関につないで、就労や就学に結び付けよう”という狙いです」

 しかし、35歳以上であっても、40歳以上であっても、精神疾患ではないのに引きこもらざるを得ない人たちをたくさん知っている。やはり、いくら説明を聞いても34歳までの根拠がわからない。

 都の担当者は「NPOが…」を繰り返したうえ、「国のニート対策が34歳までなんです」と付け加えた。

 これまでさんざん批判されてきたのに、いまだに引きこもり状態を「ニート」を一緒くたにする担当者がいることにも驚いた。

現実に即さない現状を指摘
舛添都知事の回答は?

 すでに先駆けて、引きこもっている人たちに家庭訪問を行っている町田市保健所の実態調査では、当事者の40代以上は3割。山形県の調査では、半数近くにも上っている。

 その都が、来年度から「引きこもり訪問相談」を始めるというのに、いまだに40代どころか、35歳以上を除外していること自体、現実に即していないことは明白である。