東京都が2014年度から「引きこもり支援策」として、家庭訪問支援に取り組む――そんな方針が、3月5日の都議会本会議の中で明らかになった。
引きこもり支援のあり方について取り上げたのは、日本共産党の里吉ゆみ都議会議員だ。
この日の一般質問で里吉都議は、舛添要一都知事に対して、こう認識を聞いた。
「引きこもり状態の人たちは、何とかしなくてはと思っても、なかなか一歩を踏み出せない。また、親は自分の育て方が悪かったのではないかと悩み、誰にも相談できず抱え込んでしまう。社会にとっても損失です。長期間引きこもっている方は、自ら相談に出ていくことは非常に困難であり、自宅などに直接訪問するアウトリーチ支援を進めていくべきではないか」
なぜか支援対象は「34歳まで」
高年齢化する現状を無視か
また、里吉都議は、引きこもり状態の長期化、高年齢化が進んでいて、都の引きこもり支援策の対象が「34歳までという年齢制限は、実態に合わなくなっている」とも指摘した。
東京都が突然、34歳までの若年者を対象にした「引きこもり支援策」をスタートさせた2007年度当時は、全国に先駆けた施策として、他の自治体からも注目されていたのは事実である。
翌08年度には、都は49歳までの「引きこもり状態にある高年齢層」の調査を追加で行い、リーマンショックの時代的状況とも相まって、就職試験の失敗や、リストラ、派遣切りなどにより社会から離脱してきて元に戻れなくなる「新たな引きこもり層」が急増している現状も明らかにした。
ところが、こうして長期化・高年齢化が進む中、その後も都の「引きこもり支援策」は、なぜか34歳までを対象にした限定的な支援策に留まり続けた。
当然のことながら、「34歳まで」という年齢制限については、当事者やその家族から「35歳以上を除外するのは不公平だ」という強い反発を招いている。
引きこもり対策担当部署は
「青少年・治安対策本部」という違和感
しかも、都の引きこもり対策の担当部署が青少年・治安対策本部だったことから、「治安対策の一環なのか」という波紋を呼んだ。当事者の間からは「自分たちはテロ予備軍なのか」と脅え、委縮する声も多く聞かれた。
引きこもり家族会でも、この担当部署に関して、ずっと「都の引きこもり支援は現実に即していない」と訴え続けてきたものの、家族会に向き合おうとせず、取り合ってもらえなかったという。