高校卒業したら、ひとり暮らし経験を

――衣・食・住が満たされている今の子どもたちは、なかなか仕事に対してハングリーになりづらい環境でもあります。

柳沢 そのためにも、ぜひ一度、どこかで生活レベルを落とす経験をさせてください。私が保護者の方によく言うのが「高校を卒業したら1人暮らしをさせてください」ということ。親の経済力という下駄を履かせた状態から抜け出し、自分のレベルを知るわけです。そこからリスタートして少しずつ生活できるようになることで、自分の力で生きていけるという自信に繋がります。

一人暮らしをさせると経済的に大変だ、と考える親もいると思います。経済的に無理をしない範囲で仕送りをすればいいのです。それによって自動的に、子どもの生活水準が下がり、子どもはみずからの手で上昇するという実感を得る機会に恵まれます。

親の役割はあくまでもサポーターにすぎません。子どもの人生ですから、主役は当然子ども自身。今の親御さんは、いろんな経験をしている方が多いし、子ども可愛さで先回りして環境を整えようとしすぎてしまうけれど、それだと子どもはいつまでも自分自身でやったという実感が持てず、自信を育めない。かえって子どもの自立の機会を奪ってしまいます。
彼らが自信を持って自分の人生に立ち向かえるよう、しっかりフォローし、サポートしてあげることが大切です。


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